EAT THOUGHTS 〜思考を食す〜
2023.04.17深く濃厚なコンセプトワークは、新しいBEAUTYや価値を産みだす大きなきっかけとなります。ブランドづくりや、スキンケア、メイクアップ、ヘアなどの新製品開発・コミュニケーションづくりに独自性や差別化をつくりだすヒントをご紹介します。
原点に立ち返る
このブランドは本当に必要なのか?
世界市場で40兆円以上、日本では2〜3兆円ともいわれる化粧品市場。大きなマーケットではあるが、実際は供給過剰で限られたパイの奪い合いになっている。生活者は本当にそのブランドを必要としているのか?
企業が利潤追求を行い、自社の成長のために新たらしいブランドを市場に投入したり、既存ブランドの継続的な増収・増益を求めていくことは当然のことでありますが、売上や利益に捉われて、本質を見失っていることが増えているように感じます。本来、人の生活を豊かにしたり、個人や社会の課題を解決することが、美容や化粧の価値であり、化粧品ブランドの社会的使命であるとするならば、この本質を常にブランド運営のコアに置くべきでしょう。キレイゴトのような話でありますが、ここを見失うとブランド価値の継続や発展は望めいないでしょう。
その意味で、このブランドは本当に必要なのか?存在価値を改めて考え直してみることが重要です。この『ゼロ』起点を持つことによって、ブランド運営に日々発生する様々な難解を解く際に、常に立ち戻る場所を確保できるようになります。
価値の低い相対論から脱却する
一過性の競合の動きや評判、マーケティング会社のリサーチデータに素直に影響され、または、定量的な根拠(上司の説得)のために様々な疑問を持っても、それを信頼たるものとしてブランドの方針を決めてしまうという流れは、2匹目のドジョウを割り切って獲得することを目指す以外であれば、やめた方がよいでしょう。ブランド運営は、仮にセオリーが正しかったからといって必ず上手くいくものではありません。本当に納得していないのに、取り巻く環境の後押しに流されて違和感のある方向に舵をきってしまったら、想定外の結果が出てしまったら、必ず後悔します。
大きな組織ほど、一般論を覆すことは難しいですが、誰よりも深いコンセプトワーク行った上での結論があるのであれば、皆が『黒』と思うことでも、一度『白』という提案を堂々と行うことも大切です。
理解者の増殖
ブランドは、生活者のたにベネフィットを提供するはずなのですが、市場にメッセージや価値を伝える前に、自らが属する社内という大きな壁があります。組織にコンセプトやイデオロギーがしっかり浸透していないと、担当者から手離れをした瞬間から、どんどん変質していき、市場にでるころには全く意図しないアウトプットが世の中に出回ってしまうことがよく発生します。これはとても悲しいことで、仮にすごく実績が上がった場合でも、いずれブランドの課題となって未来に顕在化してしまうでしょう。
まずは、根底にある課題やブランド運営の重要なファクターを明確にし、組織内に理解者を増やすことが大切です。そのためには、ブランドや製品を本当に納得できる、腹に落ちるレベルまで、掘り下げ、共感される確固たるコンセプトを確立することが必要です。
DEEP THINKER になる。
考えても実行に移さなければ意味がないと言われますが、浅い考えで実行に移すリスクの方が、とても高いと言えます。深く考えて、納得したうえで行動に移すことが確率論的にも正解です。当たり前のことのように感じるかもしれませんが、この極めて単純なことが意外にもできていないことが殆どです。日常の煩雑で膨大な業務に関わっていると、目の前の処理に追われ、深く考える物理的な時間も、精神的な余裕もありません。情報が氾濫し、テクノロジーの進化やハイレベルなマーケティング競争が、繰り広げられる中で、知らず間に大きな流れに飲み込まれ、無意識に思考停止になってはいないでしょうか?
こういう時こそ、勇気を持って、思考をゼロやマイナスに、あえてリセットしてみる。
そして、全く白紙の状態から、もう一度思考を再構築する。
簡単でないことですが、深く、深く、深く自らを追求し、それを続けていくと、いわゆる「ゾーンに入る」ような何か特別な境地にエントリーすることができます。このゾーンに入ると、拘ってきたことが本当に正しいのか?どの方向に進むべきなのか?面白いように見えてきて、それが確信となります。
過去の思考を一度消し去り、DEEP THINKINGにトライしてみて下さい。
Documents and Images Author:SHUJI TONOKI